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Gakken PRESENTS 大人の科学:製品版

電子キットシリーズ

学研電子ブロックEX-150 復刻版:拡張キット光実験60

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開発秘話~開発者のこぼれ話~

湯本 博文氏

湯本 博文

科学ソフト開発編集部 企画開発室室長
大人の科学総合プロデューサー
学研 科学創造研究所所長

1977年学研入社。「科学」の編集長として画期的な付録を作り続け、今や「学研のエジソン」と呼ばれる。テレビ出演多数。1999年より現職。

金子 茂氏

金子 茂

科学学習編集部
企画開発室
大人の科学編集長

1982年学研入社。「科学」「学習」編集長として数々の付録開発に当たり、数多くのヒット企画を生む。2000年より現職。

理想の「白」を求めて

「拡張パーツの発売の経緯を教えてください」

湯本:「電子ブロックEX150復刻版」は、おかげさまで、2002年の4月に発売してから、わずか1年で7万台の出荷となりました。お客様には大変ご好評いただき、本当にありがとうございました。その中には、昔あった学研電子ブロックEX-181というマシンの復刻を望む声が多く寄せられました。

「それはどんなものだったのでしょうか?」

金子:これは、EX-150に「シンセサイザーパーツ」といういくつかのブロックが追加されてまして、このパーツを使って、追加で31回路を組むことができるというものです。

「それでシンセサイザーパーツの復刻には着手したのでしょうか?」

湯本:はい。着手はしたのですが、、それが、実はこの「シンセサイザーパーツ」の復刻はうまくいかなっかたのです。いろいろと調査をしましたが、このシンセサイザーパーツに必要なICが、現在入手不可能ということがわかりました。そのため、全く同じ動作をするICを試作してみて何度も何度も試したのですが、我々の要求性能を満たすものがうまく作れませんでした。 それで現段階では泣く泣く断念せざる終えなくなりました。 それでも、拡張パーツのご要望にこたえるべく新しく「光実験パーツ」の開発に取り組み始めました。

「そういう経緯があったのですね。では今回は復刻版でなく、光実験の新回路を開発されたということですが、一番苦労した点は?」

金子:フルカラーLEDが、今回一番苦労したポイントでした。これは、1個のLEDにRGBの3つの素子が含まれてて、「+」「R」「G」「B」の4本の足がブロックから出ています。この素子は、+→R、+→G、+→Bと電流を流すことによって、それぞれの色の素子が発光します。ここに直接6Vを流すとLEDが壊れてしまうので、抵抗を使いました。3つの素子に同じ値の抵抗をはさんで、同じ電流を流せば、RGBの3色が均等に発光して、その結果白く見えるはずなのですが、、、始めは、なかなかうまく白になりません。

「なぜ白く発光しなかったのでしょうか?」

金子:これは、フルカラーLEDの特性によるものです。つまり、+→R、+→G、+→Bに同じ電流を流しても、それぞれの明るさが微妙に異なるのです。すると、色がすこし赤くなったり、青っぽくなったりして、「白」と言い切れない色になります。

「そこはどうクリアしたのでしょうか?」

金子:これをクリアするために、まずLEDを選ぶ作業にだいぶ時間がかかりました。完璧に均等に発光するLEDなど存在しないのはわかっていますが、なるべく理想に近いものを探そうとしました。

「うまく理想に近い「白」は出たのでしょうか?」

湯本:それは中国生産の現場でも問題になったんですよ。 この試作の段階で中国から、「かなり青っぽくなる」といわれて送られてきたものを見ると、誰がどうみても「赤っぽく見える」んですよ。散々メールや電話で議論したのですが、どうしても解決しなくて、結局これは「感覚の違いとしか言えない」という結論になりました。  でも、日本で売る商品ですから日本人の感覚に従ってもらわなければいけないわけで、結局「ここまでは許容できる」という部品ランクを絞って、RGB毎に最適な抵抗を選びました。

▲拡張キット光実験60では、音階円盤と光ファイバーを使って音楽を鳴らす実験など、様々な実験が楽しめる

「色というのは、人それぞれで非常に感覚的なものなのですね」

金子:そうですね。マニュアルにもその抵抗値が指示してあります。さりげなく指示してある抵抗値ですが、そんなわけで実は裏ではかなり苦労しました。

「ありがとうございました」

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