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写真・文/森達也

第14回 首都圏動物記韓国篇

 4日前から韓国に来ている。NHK教育テレビ「知るを楽しむ」のロケだ。今回はディレクターではなくて出演者。その意味では(全国に顔が露出されることを別にすれば)、ディレクターのポジションよりはずっと気楽だ。
 ところがこの原稿の締め切りとロケの日程がまさしく重なった。締め切りの期日はすでに1日過ぎた。でも帰国は明後日。
 要するにとても困った状況。
 本当なら離日する前に原稿を書いておくべきだったが、結局は出発前のばたばたで間に合わなかった。成田からソウルの仁川(インチョン)空港までは2時間半。

 ならばしかたない。
 簡素な機内食(まあ2時間半のフライトだから簡素なのは仕方がないけれど)を食べながら考える。今回は首都圏特別篇にしよう。だってタイトルに銘打たれているのは、「首都圏」であって「東京」ではない。ワシントンでも北京でもメルボルンでもロンドンでもバクダッドでも、とにかく首都ならどこでもよいはずだ。
 そしてソウルは韓国の首都だ。ならばソウル市内でロケの合間に、虫か動物を見つけよう。首都圏動物記のタイトルには偽りなし。朝鮮半島ならではの珍しい生きものが見つかればベストだ。
 ところがスケジュールはめちゃくちゃハードだ。仁川空港で現地の撮影クルーと合流して、ホテルにチェックインする時間もないままに現場に向かい、撮影が終わって夕食を食べてホテルにチェックインできたのはほぼ真夜中。動物を探す時間的余裕などまったくない。それでもロケの合間に数枚の写真を撮った。ソウル市内の公園で1ショットのインタビューを受けたとき、カメラがポジションを決めているあいだに、速攻で撮った足元のハトだ。

 ソウルまで来てハト。冴えない。
 しかもどう見ても日本のハトと変わらない。海外で見かけるスズメやカラスなどは、日本とは微妙に大きさや色合いが違う場合が多い。でもこのハトはどう見ても日本のドバトと同じだ。違いなどまったくない。これでは特別篇の意味がない。でも他に生きものは撮れそうにない。探せば見つかるとは思うけれど、今はそんな時間的余裕はない。
 というわけで二度目のしかたない。今回はハト。

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